新型コロナウイルス対策の「納税猶予の特例措置」の適用実績が発表され、最終的にのべ45万7363件、金額で1兆5176億4700万円に適用されたことがわかりました。現在では延滞税がかかる通常の猶予制度が認められていますが、再び新規感染者数は増加傾向にあります。コロナ融資の返済も始まったなかで企業の苦境はさらに深刻化しており、税制面からの支援を求める声も多いのが現状です。
特例措置は、コロナ禍により収入が前年同期比で2割以上減少した納税者を対象とし、既存制度と異なり担保不要、延滞税免除で1年間納税猶予ができるというものでした。国税庁によると、猶予された税目別では消費税が最多の9059億4200万円で約6割を占め、次いで法人税が4361億8400万円、所得税が1217億8100万円でした。既存の納税猶予の適用額と比較すると、2018年度は1年間で695億円だったため、コロナ禍での納税猶予特例の利用額は約22倍に達したことになります。
昨年末の税制改正の議論では特例について今年2月に設定された期限の延長を求める意見も少なくありませんでしたが、当初想定より利用件数が少なかったこと、事業者側の「預かり金」である消費税と源泉所得税で利用件数が多かったことなどを理由に、延長されなかった経緯があります。しかし預り金という性質はどうあれ、業績にかかわらず納付を余儀なくされる消費税などが事業者にとって重負担となっていることは確かで、猶予実績の6割を消費税が占めていることからも事業者の苦境はうかがえます。特例を延長しなかった政府には、猶予に代わる実効性ある支援策が求められているところです。
<情報提供:エヌピー通信社>
記事提供:ゆりかご倶楽部
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